VOT ~音声(VUI) & チャットボット(bots) ~

LINEやMessengerなどで自動でユーザーと会話を行う「チャットボット」や『Amazon Alexa』『Google Home』『LINE Clova』などを始めとした音声インターフェース(VUI)などの技術を盛り上げるコミュニティ『VOT』の公式ブログです!

圧倒的回答率!チャットボットのコミュニケーションにおける、"ユーザーの期待を管理する"ということ

チャットボットとのコミュニケーション

 

初めまして、チャットボットとユーザーとのコミュニケーションを四六時中ひたすら考えている山田と申します。

ひたすら考えた結果、AI関連の映画を見ると、前より感情移入出来るようになるくらいにはコミュニケーションを考えることが出来るようになってきました。というより何だか切なくなりすぎて鑑賞後2,3日は仕事に手が付かなくなります。

AI関連の映画は大体が切ないですもんね。

特にスティーヴン・スピルバーグが監督を務めた「A.I.」は、もう胸が張り裂けそうになってしまいます。

 

主人公であるロボットのデイビッドを演じた、当時12,3歳のハーレイ・ジョエル・オズメント君の、目を瞠る演技力も要因でしたが。
(チャットボットもA.I.での彼のように豊かに感情を表現することが出来るようになると、まだまだ可能性が開けますよね。)

 

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「ハーレイ・ジョエル・オズメント君の過去と現在」出典:https://eigaland.com/topics/?p=1813

 

このままA.I.しかり、他AI関連の映画の紹介もしたいところですが、”ユーザーの期待を管理すること”などという大変仰々しいタイトルを付けてしまったので、本題に移りたいと思います。

考え始めてから半年ほどのまだまだ新米のため恐縮ですが、参考程度にご覧になって頂けますと幸いです。

批判、指摘、意見等あれば、気軽にコメント欄で熱い議論を交わしましょう!(やっぱり批判は落ち込むので極力送らないでくださるようお願いいたします。)

 

"期待を管理する"

 

何だか「管理する」などと言うとちょっと堅苦しい感じがしますが、要は、”ユーザーの期待を超える” ということです。

私が過去に制作したチャットボットの中には、全25問ほど、時間で言うと全て回答するのに5~10分ほど平均でかかってしまうような長編のものがあります。

どんなボットかは企業秘密ですが、Web畑出身でUX設計をやってきた私からすると、さすがにこの長さは大きな離脱要因になるやろな…と思ってました。(作っておいてなんでですが笑)

しかし蓋を開けてみると、予想外の好反応が得られました。

初期のバージョンから細かい修正はしましたが、最終的には流入ユーザーの、なんと45%ほどが回答を完了したのです。

チャットボット恐ろしや...チャットボット半端ないって!と思いつつも、なぜこのような結果を得られたのか分析をしたところ、幾つかの重要な要素が浮かび上がってきました。

その一つが、”ユーザーの期待を管理する”ことでした。他は秘密です。

 

ユーザーの期待を管理=超えるということ

 

ユーザーの期待を超える、と聞くと何だか当たり前に聞こえてきますよね。

しかし、ユーザーのリテラシーが高まっている今、ユーザーにとっての当たり前の基準は高く、

例えば、何らかのWebサービス、もしくはAppをリリースするにしても、どんなものか云々以前に見た目がダサいから、という理由だけで利用しないなんてことも十二分に起こりえてしまうんですよね。

世の中の素晴らしいUI/UXデザイナーやエンジニアが、しのぎを削って、日々イケてるプロダクトを生み出し、ブラッシュアップさせてるためですね。

インターネット黎明期の、ちょっ、これは...といったWebサイトを、これが当たり前と感じ利用していた時代があったことを考えると何だか感慨深いです。見返してみたら、これはこれで有りかなという思いにもなりましたが。スピード早いし。

 

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阿部寛のホームページ」出典:http://abehiroshi.la.coocan.jp/

 

また、昔風のちょっ、これは...というWebサイトを発掘していたら、個人的に面白く、一定共感したサイトを発見しましたので共有させて頂きます。規制がかかりそうなワードばかりのサイトなので見る方はご注意ください(既にドメインがやばい)。ただし内容はまともです。

https://toshimaru.net/motherfuckingwebsite/


話が逸れてしまいましたが、チャットボットに例えると、ユーザーの当たり前の感覚はどうでしょうか?

まだユーザーに広く浸透していないものの、iphoneにおける「siri」や、Microsoftの「りんな」などの存在もあり、人口知能と行う会話の当たり前の基準が高いユーザーもいます。
そういったユーザーは色々なアクションを試みてきますよね。どういった反応をしてくるのか、そもそもちゃんと反応してくれるのか、期待通りの反応を示すのかチャットボットを試しているわけです。

そこでユーザーを満足させることの出来ない反応をした暁には、ユーザーは失望して離脱してしまうでしょう。いや、離脱してしまいます。そして滅多なことが無い限り、もう利用することも無いでしょう。

そのような悲劇を引き起こさないためにも、ユーザーの期待を管理することが極めて重要になってくるわけです。

具体的には、

①何が出来て、何が出来ないチャットボットかしっかりと伝える。

ということが重要です。ここでいう出来ること、出来ないことはチャットボットが提供することが出来るコンテンツ(価値)だけではなく、機能として何が出来て出来ないのかも含めています。

出来ないことを正直に伝えることは、ユーザーのボットに対する期待値が下がるだけであって、失望させるわけではありません。

ユーザーの期待を下げることは何だか良くない印象を持つかもしれませんが、逆に言えば、期待を超えやすくなったということなのです。

期待が下がったユーザーは、チャットボットってこんなもんかと思うかもしれません。選択肢でスイスイ回答出来るのは手軽で新鮮な体験と感じるかもしれませんが、慣れてくると、次の設問が出てくるまでのスピードや、一辺倒の返事に次第に飽き飽きしてきてしまいます。

短時間で体験を終えられる会話であればあまり問題はありませんが、長くなればなるほど離脱率は顕著に上がっていきます。

そこで次に、期待を超える体験を届けることが重要になってくるのです。

 

期待を超える体験とは

 

期待を超える体験とは何か、どんな体験を届けることが出来ればユーザーの期待を超えることが出来るのか。

提供出来るコンテンツは置いておいて、”会話"に絞れば、私は、"会話の作り込み"に他ならないと考えています。

例えば、物件選びを支援してくれるチャットボットで、最初の方にユーザーに年齢を選んでもらう設問があり、20代前半と答えたとします。

そして、その後幾つか設問に答えた後、住みたい地域で港区を選択したとします。

その時にチャットボットから、

 

「○○さんはまだお若いのに、家賃相場の最も高い港区を希望されているのですね!😳
どのような仕事をされているのか分かりませんが、きっと多くの努力を重ねてきたこられたのですね。

○○さんが気に入るような物件を紹介出来るように私も頑張ります!」

 

と返答がきたら、おっ!となりませんか?
私だったら、ニヤニヤを頑張って押さえながら、まあそれほどでも🌝と返信したくなります。

こういった体験が、ユーザーの期待を超えることだと私は考えています。

随所におっ!となるような体験を散りばめらながら、段階的に期待を超えていくことが、ユーザーの高い回答率を引き出しているのです。

 

上の文章で”段階的に”と書きましたが、私は1度の期待を超えた体験では、ユーザーはおそらく30問の設問を10分かけて回答しなかったと思います。提供出来るコンテンツが幾らユーザーにとって魅力的であろうと、45%は不可能な数字だったと思います。

重要だったのは、何度も期待を超えた体験を届けることが出来たこと。

ユーザーにおっ!と何度も言わせることが出来る体験です。

これは段階的に徐々に作りこんでいくことによって可能になります。

ただ、そのためには制作工数と相談しながら、期待を超える(会話を作り込む)ポイントを見定めることが必要です。

チャットボットの会話を作るのは、分かる人には分かるかと思いますが結構な制作工数がかかります。
(10日間くらい朝から晩まで、ずっと会話を作っていた時には頭が常にショート寸前で発狂しそうでした。いや、発狂していました。爆飲み爆食いを繰り返しめちゃくちゃ太りました。※現在ダイエット中で納豆とキムチしか食べておらず、また発狂しそうです。)

作り込みによっては、1つ分岐を増やすだけでとんでもない量の工数が発生することもあります。

エンジニアの人たちに協力してもらいながら、いかに少ない工数で作り込みのある会話が作れるのかということも重要な要素です。

 

最後に

 

最後に、まとめると、

”チャットボットで何が出来るのか、出来ないのかをしっかりと伝え、その上でユーザーがおっ!と感じるような会話の作り込みを行い、ユーザーの期待を段階的に超えることが出来る設計にする”

ことが、高い回答率を得るポイントの1つであるということです!

 

コミュニケーションの分野はまさに「道なき未知」。

今後も制作していての気づきがあったら共有させて頂きます〜!

山田

 

※さもこの分野の権威のように、偉そうに書いてしまいましたが、私個人の主観的な感覚も混入しているため、活用にはご注意ください。